音楽のやりとりは人との会話と似ている。
自分にしか興味がない人との会話はかったるい。
自己愛に埋没してる世界が窮屈で嫌なのだ。
だから自分の楽器の音しか愛せない人と音楽は作れない。
会話には当然ボキャブラリーが必要で
子供の語彙力やお粗末な想像力だけじゃ会話にならない。
わずかな単語力や浅い見識しか持てない自分を自覚するのが第1歩で
その克服への旅を延々と続ける事が「音楽を作ること」だ。
ストーンズの音楽はそれを教えてくれる。
チャックベリーのコピーから始まり
「レットイットブリード」「スティッキーフィンガーズ」までの
黒人音楽への凄まじい探究心の旅は、すごいの一言だ。
ストーンズのロケンロールは表現が深いから飽きない。
ストーンズはヘタなバンドとか言われるが、とんでもない話だ。
自分達の好きな音楽に対する見識や愛情を
ここまで拡大解釈してみせた人達はそんなに多くないのだ。
ストーンズは自分達に必要な技術だけを深化させてきた。
彼等の8ビートにはファンクに通じる「音の抜き」がある。
ドラマーが陳腐な16ビートをやらなくても
ベーシストがお決まりの早い音符を弾かなくても
ファンクで粘っこい。カッコイイ。
彼等は楽器を弾きながら「音楽を作ること」が好きなのだ。
「自分が楽器を弾くのが好き」なのと
「音楽を作ること」は似てるけど全然違う。
アルグリーンの「Take me to the river」を聞くと
ストーンズを思い浮かべてしまう。
編成は違ってても同じカッコよさ。
深く影響をうけるってのは、こういうことだ。
あのバンド全体でグルーブするビートの秘密が知りたい。